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大切な人からのプレゼントで気に入っていないものはどうしたらいい?【ミニマリストおふみの相談室】

2020.04.01


人からプレゼントされた物は気に入っていなくともなかなか手放すのが難しいもの。処分しようと手に取っても、プレゼントしてくれた相手のことが頭をよぎり手放せないまましまい込む、という経験は誰しも経験があるのではないでしょうか。今回の相談は「大切な祖父母からもらった喪服が手放せない」というお悩み。普段から使うものではなく、多少の不具合には目をつぶれるという点でも判断の難しいものです。こういった“物”ではなく“人”に思い入れのある物はどうしたら良いのでしょうか。

新卒入社をした4年前の春に「これから着ることもあるだろうから」と遠方に住む祖父母に買ってもらった喪服を手放せず困っています。店員さんに「喪服は着る頃には太っていて入らなくなるものだから!」と言われサイズも少し大きめですし、デザインも祖父母が普段行くブティックで祖父母が選んだものだったので年齢的に私には合わないものなのですが、買ってもらった時の祖父母の満足げな様子を思い出すとなかなか手放せません。

数年に1度しか着ない物であることを思うと、周囲に失礼なレベルでなければ多少デザインやサイズが合わなくても良いかとは思いますし、せめて祖父母の時にはこれを着たいと思ってとってあるのですが、ハンガーにかけておかないとしわになってしまうのでクローゼットを圧迫しますし、いわゆる「一軍の服」ではないです。こういった好きではないけれど手放せない物は、どう折り合いをつけたらいいのでしょうか。
Hさん 女性

お悩み相談をお送りいただきありがとうございます。
メッセージをいただいた時に「これは難しい…」とかなり悩んで唸りました。いくつかの選択肢を提示します。どれが正しいかは一概には言えません。ご相談者さんと御祖父母様の性格、彼らとの関係によるからです。

選択肢1、「思い出」として残してはどうか

私ならどうするか考えました。

大きなものではなく服1着なので、保管しておくことは可能です。この一着がクローゼットを占有する面積もそう大きいわけではありません。そこで、私なら「限りなく思い出の品に近いもの」として所持し続ける選択をするという結論に至りました。

持ち物には「実用品」として持つもの、「思い出」として持つものがあります。実用品という言葉を辞書で引いてみると、『日常的に頻繁に使用される品物。(デジタル大辞泉より)』とあります。例えば、調理器具や食器、服や靴や家具家電など、何らかの用途をもったものを普段から定期的に使用しているものです。死蔵している場合は実用品とは言えません。「思い出」として持つものは、例えばもう物としての用途は終えているけれど、その物に込められた思い出が手放しがたいために残しておいているものです。

例えば私の場合でいえば、友人が手作りしてくれたカメラケースが破れてもう使えないものの「思い出の品」として残しておきたいと思い、思い出の品を集めた箱に入れて保管し、たまに取り出して見ています。親に買ってもらったけれど趣味が変わってしまったネックレスや、友人が撮影してつくってくれた結婚式のアルバムなども同じ箱に入れてあります。これらのものは「使わないから手放す」という判断をして、写真に撮影してデータとして残して実体のあるものは手放すということもできます。けれど、思い出を宿しているこれらのものを実体として残したいと思い、A4サイズの箱一つ分と決めて持つことに決めています。手放したら後悔すると思うからです。もちろん、あれもこれもと何でも残していたら、今使う物がしまえなくなってしまうので、限度を決めて保管する必要があります。

御祖父母様から贈られた喪服の話に戻りますが、これを手放すことで後悔しそうなら、手放さない方がいいと思うのです。相談者さんもご自分で書いていらっしゃいますが、「せめて祖父母の時にはこれを着たいと思ってとってある」とのことですが、もし手放したらそれができなくなります。確かに一軍ではないかもしれません。他に喪服を用意するなら2着も持つことになってしまいます。それでも、御祖父母様に贈られたものは手放した後に買い直すことができません。思い入れのあるものとして、例えるなら人からもらった手作りの写真アルバムみたいなものだと思って、残してはいかがでしょうか。それもひとつの選択です。わたしならこの方法をとる気がしています。

「ハンガーにかけておかないとしわになってしまうのでクローゼットを圧迫しますし、いわゆる「一軍の服」ではないです。」とあるので、おそらく気にしていらっしゃるのは保管方法ですよね。押入れをクローゼット代わりにして使用している場合でも、工夫すれば収納できます。女性の方なので、ジャケットとワンピースのアンサンブルを想定してお話ししますが、丈の長いワンピースでも、スーツをしまっておく不織布のカバーをかけて服を半分に折る形にすれば、コンパクトに吊るしておけます。もしそういったものをお持ちでなければ、紳士服店や100円ショップでも取り扱いがあるのでお店に確認してみてください。長期間着ない場合は定期的にクローゼットから取り出して風通しのいいところで陰干しして、カビ・虫食いを防ぎましょう。

選択肢2、手放すのも一つの手

手放すというのも一つの選択肢だと思います。御祖父様、御祖母様がどういう思いでその喪服を贈ったのかについて考えてみましょう。ご本人に確認していないので憶測でしかありませんが、お孫さんが社会人になるにあたって必要なものを贈って生活を助けたいと思ったのですよね。社会人になって初めのうちは何かと入り用なので、経済的理由で必要なものを揃えられずに困ることがないよう、あらかじめ必要になりそうなもののうちのどれかを贈りたいと思ったのでしょう。

贈られたものが本人に合っておらず、それがクローゼットを圧迫して孫が困っているなら、御祖父母様は「お孫さんが困らないように生活してくれること」が一番嬉しいと思うのではないでしょうか。

御祖父母様と葬式などで同席する際に、買い直した別の喪服を着ていて、何か聞かれたら「体型に合わなくなってしまったので別のものを買った」と話す程度でいいのでは。孫が選んだ選択肢なら受け入れてくれるのではないかと思います。ただこれは、お孫さんご本人と御祖父母様との関係による部分が大きいです。手放したと知った時に御祖父母様が落胆しそうだなと思うのなら手放さずに2着持てばいいですし、きっと許してくれると思うなら手放せばいいと思います。

あなたと御祖父母様との関係はそこだけにある固有のものなので、外からはわかりません。もしくは、御祖父母様のお子さん、つまりあなたのお父様かお母様にその件を相談してみてはいかがでしょうか。どういう反応をしそうか、長年一緒に過ごした経験から返答してくれるのではないでしょうか。

何か少しでもお役に立てる部分があれば嬉しいです。

おふみさんへ相談をしたい方はこちらよりご応募ください。
皆様のご応募お待ちしております。

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